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【LGBTと結婚指輪】インスタで結婚指輪の購入報告をして世の中とのギャップを感じた話

以前、結婚指輪をオーダーした記事を書きましたが、先日その指輪が完成し、「せっかくだし」と思ってインスタを更新しました。

わたしとしては、「結婚できないのに結婚指輪を買うこと」は少し悔しい体験でもあります。

ふたりで5年以上も付き合ってきて、周りの人に自分たちの状況を開示して、どうにか理解されてきたのに、いまだにわたしたちは社会的に容認された関係ではありません。その状況で、今できる結婚っぽいイベントである「結婚指輪を買う」ということは、気休め以外の何物でもないのです。

そのため、インスタでも、あくまで「結婚指輪を買った」というだけの投稿を書こうと決めていました。

目次

インスタへの投稿

ここでは写真は上げないのですが、写真に添えた文章がこちらです。

最近の流れをみると、わたしたちがこの国で結婚できるまではまだまだかかりそうですが、こうやって結婚指輪を買ったりできるのは、わたしたちを支援してくれり、理解してくれる人が世の中にたくさんいるお陰だと思います。
これから先、何年付き合っても結婚はできないかもしれないけど、周りの人のに協力してもらいながら、ふたり一緒に「なりたい姿」を実現できていけたらいいなぁと思っています。
#結婚式は結婚したときに #結婚の自由を全ての人に

すこしフェイクは入れていますが、だいたいこんな感じでした。

わたしとしては、「ちょっと暗い文章になっちゃったな」とは思ったものの、わたしのひねくれた性格もよく出ているし、皮肉っぽくてちょうどいいかな、と思って投稿しました。

 

周りの反応

わたしは、SNSの通知を全てオフにしていいます。なので、投稿後はいつも通りの家事をしていました。

暗い投稿をしちゃったから、周りからの反応があってもいいねが押されているくらいかな?と思っていました。

投稿してから結構時間が経ってから、インスタを開くと、結構な数のいいねと

「おめでとう!」

というコメントがいくつもついていました。

「おめでとう」と感じてもらえたことはうれしいのですが、わたしたちはこの状況を続けたくないし、結婚できるようになってほしいのです。結婚指輪を買えたくらいで結婚したかのように祝福されたくはなかったんです。

とはいえ、何人かは、「結婚できますように」とメッセージをくれたり、#結婚の自由を全ての人に のタグを付けてコメントをくれて、わたしの気持ちとこの投稿の意図に気付いているようでした。

 

「まだ結婚できなかったんだ」

また、少しびっくりしたのですが、コメントの中には「まだ結婚できないの?」「同性同士って結婚できなかったんだ」とのメッセージもありました。

日本には、わたしたちLGBTと呼ばれる者たちが制度上差別されているという現状を知らない人がいるようです。そして、残念なことに、きっと、このような人はもっともっといるのです。

わたしは、このような人たちが不勉強であるとか社会に関心がない人であるとは思いません。

LGBTに関心のない人は世の中にたくさんいます。しかし、日頃のニュースをなんとなく聞き流している場合、同性婚の訴訟で勝訴したとか、パートナーシップ宣誓制度が施行されたとかという話題は耳にするのでしょう。

LGBTに特別関心のない人が、それらのニュースの内容を最後まで聞くでしょうか?あとで制度や訴訟内容について調べるでしょうか?

きっと、しないでしょう。そして、結婚できるようになったと勘違いするのも無理はないのでしょう。関心のないことに対して、人は想像以上に無知ですし、その態度はある意味で冷酷です。

そして、このような人は、ある意味でLGBTの敵なのです。

 

関心のない人を敵とする理由

わたしたちは、ときどき「いない人」として扱われます。

「この学校・会社にはLGBTとかいないから!」

「この教室にはいないと思うんだけど、世の中には男と男で付き合う人がいて~」

これらは、わたしがいる会議中や授業中に発せられた言葉です。

大事なこととして、この発言をした人たちは、決してLGBTを差別したいと思っている人たちではなかったというのはお伝えします。

ただ彼らは、わたしが同性のパートナーと同棲していることなど知らず、身近にLGBTはいないと本気で思っていたのです。

厄介なのは、このような、関心のない人は相当な母数がいるし、自然に・その気なく・悪意なくLGBTを「いない人」として扱うのです。

彼らも、差別なんてしたくないのに、です。

※もちろん、差別しようと意気込んでこういう発言をする人もいます。こういう人のことはすごく嫌いです。

 

わたしがカミングアウトをする理由

いままでほかの記事でもお話ししてきているように、わたしは周りの人には基本的に全員、「同性と付き合っていて、同棲している」ということを伝えています。そして、伝えてきた人はみんな、最終的にはわたしたちを受け入れてくれています。

そして、わたしのカミングアウトを受けた人の多くは、LGBTが差別されている現状について一緒に憤ってくれたり、個人や組織でできる範囲でわたしたちを支援してくれています。

ただ、わたしがカミングアウトを続ける理由としては、「無関心な人を減らしたい」という気持ちが一番強くあります。身近な人が当事者であれば、アライとして協力してくれる人もいますしね。

無関心ゆえに当事者を傷付けることは、誰だってしたくないでしょうし、わたしもLGBT当事者として傷つきたくないです。

 

最後に

「おめでとう」とコメントをくれたり、「結婚できないの?」と疑問を投げかけてくれた人たちは、みんなわたしたちを応援してくれる人たちです。

彼らの中には、今回のインスタの投稿を見るまでわたしが「同性と同棲中」ということを知らなかった人もいるかもしれません。パートナーのことはそこそこ投稿していたけど、付き合っているのは冗談だと思っていた人もいるでしょう。わたしはSNSでの投稿ってその程度で見られていると思っています。そもそも文章は読まず、結婚指輪の写真だけ見て結婚したと思い「おめでとう!」とコメントした人もいると思います。

わたしは少し傷付いてしまいましたが、彼らの中で、「LGBTの知り合いがいる」と思ってもらえればまずはそれでいいと思っています。

本当に、すぐ隣、身近に当事者がいる場面になったときに、わたしのことを思い出して「知り合いにいるよ」って言って身近な当事者を受け入れて支えてくれればそれでいいのです。

この思いは、このブログに訪れる人に対しても思っています。

「こないだ読んだブログの人がLGBTでね」

って言ってもらえればいいなぁと思っています。

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