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【LGBTカップル】公正証書ってどうやって作るの?~パートナーシップ契約書編~

日本では、夫婦別姓や同性カップルの法律婚は認められていません。そのため、パートナーであることを証明できる書類を用意して入院等の場面で家族同様に行動できるように備えておくと安心です。

証明書類を作成する際に、可能な限り「公正証書」での作成を行うようすすめられていることはよく知られています。

「作成した方がいいことはわかっているけれど、記載すべき内容や作成方法・費用についてはよくわからない」という方のために、実際に作成した観点から、作成までの流れをまとめました。

目次

公正証書を作成した動機

私たちは、両親の元からだいぶ離れて生活しているので、自分が事故や病気をした場合には、両親ではなく、パートナーに連絡が行き、いろいろな手続きをできたほうが迅速に対応できることは確実です。しかし、社会的に見れば私たちの関係は「赤の他人」。そのため、お互いのリスク管理の一環としてパートナーシップ契約書が必要だと考えました。

また、私たちは、将来的には一般的な夫婦と同じように資産を共有し、車や家(マンション)の購入、子どもの養育を検討しています。

そのため、2人で一緒に生活する際の、経済的負担を分け合うという同意を確固たるものにしたかったというのも動機の1つです。

さらに、将来的に子どもの養育を希望しています。出産した側に万が一のことがあったとしても、パートナーが引き続き子どもを養育できるように環境を整えておきたいという点も作成を決めた理由です。

まとめると以下の3点が私たちの契約理由です。

  • 傷病時のリスク管理
  • 資産共有の約束
  • 子どもの養育

作成方法

公正証書の作成方法は、

  1. 公証役場に電話予約
  2. 公証人と相談(内容の精査)
  3. 内容の読み合わせ
  4. 公正証書にサイン
  5. 控えの受け取り 以上

実際に、公正証書を作成しようと考えてから、実際に作成するまでに数年の歳月を費やしています。その理由の一つが、「作り方がわからない」

自分たちなりにネット等で調べもしましたが、結局よくわからなかったので、公証役場に電話予約し、ほとんどノープランで赴きました。

公証役場は、各都道府県に数か所ありますが、どこで契約書類を作成しても費用や効力に違いはないそうです。

また、一昔前は、同性カップルに対する契約書の作成は断られていた例もあるようですが、現在は同性カップル用の「パートナーシップ契約書」のひな型(テンプレート)も用意されており、担当して頂いた公証人からは前例についてもお話ししていただけました。

 

契約内容の精査

こういう内容を入れてほしいな、というぼんやりした要望だけを持って公証役場に行きましたが、公証人がその場で用意してくださったひな型に、入院時の手続きの事や資産共有の約束についてはすでに記載がありました。

「産みの親が亡くなった際に、パートナーが養育者になる」という内容については、パートナーシップ契約書の内容ではなく、遺言書に記載する内容だと考えられることを説明され、子どもの養育の実現が近くなってから作成することをおすすめされました。

そのため、公証人の用意してくださったひな型の内容のままでとりあえずはパートナーシップ契約書のみを作成しました。

その後は、作成のための待ち時間と読み合わせの時間がありましたが、公証役場に訪問してから控えを受け取るまでを2時間もかからずに終えることができました。

 

パートナーシップ契約書以外の公正証書

ここまで読んでいただいた方であればお気付きかもしれませんが、パートナーシップ契約書に入れられる内容と、また別の契約書等の公正証書に記載すべき内容が分けられています。

公証役場に行った際に、将来的に作成が必要だと感じた公正証書については、「任意後見契約」と「遺言書」です。

パートナーが重度の障害や認知症になった際に、保険や年金、住居等の管理をするためには、「任意後見契約」の作成が必要です。また、この契約書はペアローンを組む際に作成を依頼されることも多く、パートナーシップ契約書と同等に作成が必要と言われています。

私たちはまだ作成していませんが、こちらも公証役場にひな型があるようでした。

また、遺言書で子どもの後見人をパートナーに指定しておくことで、子どもが小さい時に自身が亡くなってしまっても、養育をパートナーに任せることができるようでした。こちらもひな型を用意できる、とのことでした。

担当してくださった公証人は同性カップルが子どもを持つことを想像できないようでしたが、私たちの希望が叶うようにといろいろと考えてくださいました。

 

作成費用について

公正証書の作成費用については、そのページ数で変動がありますが、おおよそは以下の通りのようです。

  • パートナーシップ契約・・・15,000円前後
  • 任意後見契約・・・1冊25,000円前後(お互いを指名する場合は費用2倍)
  • 遺言書・・・1冊25,000円前後(お互い作成する場合は費用2倍)

私たちは、同性婚が法律婚にならない限りは、将来的にどこかのタイミングで任意後見契約書と遺言書を作成することになります。

法律婚であれば、公正証書を作成する費用(約10万円)が自動的浮くと考えると、結婚って本当に素晴らしい制度だなと思います。

 

作成しての変化

2人が納得していればそれでいい、というカップルもいると思います。私たちも「作成しなくてもいいかな」と思っていた時期もありましたが、契約書を作成したことで、「生活への安心感」と「カップルとしての自信や自覚」が持てたかなと思います。

以前までは「職場では独身として休日出勤や残業をして頑張らなくては」という意識がありましたが、公正証書を作成した後は「事実婚なんです」と言えるようになったので、独身プレッシャーがなくなり、ゆるっと仕事ができています。

また、家族計画のための有給や早退も取りやすくなったので、よかったなと思っています。

もともとの職場の懐の深さはありますが、気負いしやすい性格なので、周囲の優しさを受け取れる心の余裕ができたことがよかったかなと思っています。

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